† of Ogre~鬼の心理
「なぜ?」

と問う私に、アルは即答してくる。

彼は作法には気を遣うため、手の動きはいったん止められていた。

「考えてもごらん、真輝ちゃん。中心街には、なにがある? 真輝ちゃんも今日中心街に行ったよね? その時、なにを感じたかな?」

「――……なるほど、ね。そういうことなら、私も賛成するわ」

考えてみた。そして納得し、そう答えた。

、、、、、、、、
そういうことなら、中心街はたしかに都合がいい。まさに、そう打ってつけ。

因果応報の理を信じてやりたくなった瞬間だった。

「さて」

と、私の納得を見たからなのか、それともさっさと夕食を食べ終わったからなのか、仁はひとり立ち上がった。

会計を持つという甲斐性はないため、もちろんその手には伝票は握られていない。

ぼさぼさの髪のうちで目を細め、ジーンズのポケットからマジックペンを出して見せる。

「下準備が必要だろ。ちょっと散歩がてら行ってくるさ」

「……」

「気をつけて」

私は黙視で、アルは言葉で、彼女を見送る。
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