† of Ogre~鬼の心理
独節
† 独節
僕はその場所へ向かった。
夕方、彼女を連れていくはずだった場所へ向かった。
特別な景色が見えるというわけでもない、そこ。
並び並んだ信号機が、闇夜の中でははっきりとその無機質さを光らせている。
なにかに集中したり、手順や呪文が要るわけでもない。
でも僕は、ほかの人には見えていないソレを、視る。
「やあ、来てみたよ」
《……こんな時間に、物好きだね》
「まあ、ね。聞きたいこともあったから」
と、言葉を交わしもする。
目の前の大通りを、車が右へ左へ過ぎていく。交通量の多い、交差点。
横断歩道を前に、けれど僕は、信号が青になっても、動かない。
だってそう、用があるのはこの交差点そのもの――ここにいる、彼だから。
僕はその場所へ向かった。
夕方、彼女を連れていくはずだった場所へ向かった。
特別な景色が見えるというわけでもない、そこ。
並び並んだ信号機が、闇夜の中でははっきりとその無機質さを光らせている。
なにかに集中したり、手順や呪文が要るわけでもない。
でも僕は、ほかの人には見えていないソレを、視る。
「やあ、来てみたよ」
《……こんな時間に、物好きだね》
「まあ、ね。聞きたいこともあったから」
と、言葉を交わしもする。
目の前の大通りを、車が右へ左へ過ぎていく。交通量の多い、交差点。
横断歩道を前に、けれど僕は、信号が青になっても、動かない。
だってそう、用があるのはこの交差点そのもの――ここにいる、彼だから。