† of Ogre~鬼の心理
後章
† 後章
立ち止まった交差点は、普段使わない南区通りだった。
私と彼は、『ひじり』と名のついた公園を背後に、横断歩道の信号が赤から変わるのを待っている。
私と彼は、ここから南のある場所へ向かう途中だった。
トウノ ヤマ
塔野山、という、なだらかな山が目的地だ。
行こうと言い出したのは私ではなく、彼。
私はなかば無理やり、付き合わされていた。
無理やり付き合わされていたのに、どうしてか、嫌悪感はなかったのだけ、心理が覚えている。
その道すがら、
「やっぱりさ、おかしいと思うんだよね」
という彼は、不満を口にしていながら、なぜか笑顔だ。
ああ、相変わらずむかつくけれど、人を無性に安心させる、小動物のような笑顔だ。
リスが口いっぱいに木の実を頬張っているのを見ると滑稽だが、くすりと笑える。
彼の笑顔は不快さと安心を同時に与えるから、雰囲気はそれに似ている。
立ち止まった交差点は、普段使わない南区通りだった。
私と彼は、『ひじり』と名のついた公園を背後に、横断歩道の信号が赤から変わるのを待っている。
私と彼は、ここから南のある場所へ向かう途中だった。
トウノ ヤマ
塔野山、という、なだらかな山が目的地だ。
行こうと言い出したのは私ではなく、彼。
私はなかば無理やり、付き合わされていた。
無理やり付き合わされていたのに、どうしてか、嫌悪感はなかったのだけ、心理が覚えている。
その道すがら、
「やっぱりさ、おかしいと思うんだよね」
という彼は、不満を口にしていながら、なぜか笑顔だ。
ああ、相変わらずむかつくけれど、人を無性に安心させる、小動物のような笑顔だ。
リスが口いっぱいに木の実を頬張っているのを見ると滑稽だが、くすりと笑える。
彼の笑顔は不快さと安心を同時に与えるから、雰囲気はそれに似ている。