† of Ogre~鬼の心理
ナンダ?
What?

ナゼダ?
Why ?

ダレダ?
W h o?

 、、、、
「フジオカ」

口に出してみたところで、響きに覚えはあっても、ただそれだけで、昨日のフジオカは絶対に『初対面』だと断定できる。

俺の、いまだ生身のまま残っている数少ない部位を無償で賭けてもいいほどに、それはたしかだ。

が、にもかかわらず、あのフジオカが奇しくも引っ掛かる。

そうだな、コーヒーと言われて出された代物が、実はただ炭酸の抜けたコーラだった……という、まったくつまらないという意味で笑えるような、微妙すぎる違和感。

(ダメだな)

と自嘲。

俺のイメージ上の偏見だが、真輝では一生覚えられないほどの手順を踏んでようやく、コーヒーを落とし終わる。

(知識は吸収できても、他人の顔やら関係やらはすっぽ抜けちまう)

呪文やら術式、公式、世界における定義、様々な手順や反応を記憶するのは得意なのだが、と苦笑を交えつつ、店長を呼ぶ。

プレートにカップを載せ渡しながら忠告した。

「今日のは苦いぞ、いつもより」

「ン? 豆挽きすぎたか?」

「いや。苦笑が隠し味なんだよ」
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