† of Ogre~鬼の心理
僕のことを腹黒いと思う人間なんて、そういないだろう。

だからニコニコと、安心して微笑んでいられる。

僕のことを、安心して、善良な人間だと思い込ませてあげられる。

「まあまあ落ち着こうよ、内村。じゃあとりあえず、それがありえる方面で考えてみよう」

と彼を宥めておきながら、いよいよ悪知恵を最高に発揮して、このままその気にさせてしまおうと思った。

「仮にこれが、猟奇的連続殺人だとする。とすれば、犯人は今なにを考えているか。内村が犯人なら、いったいなにを考えて次の事件を起こす?」

犯人の人格を推測する。

それだけで事件の方向性が掴めてくる気がするのだから、不思議だ。

「もし連続殺人なら、関連性がある人間を狙いますよね? あの女子大生の関係者か、共通点のある者、あるいは似通った容姿の女性じゃないかと」

「うん。いい狙いどころだと思う」

一瞬、真輝ちゃんのことを思い出し、自分のことも思い出す。

連続殺人なら、関連性がある人間を狙う。

『殺人』というわけではないにしても、僕も真輝ちゃんも、そうさ。

自分の好みという共通点を見い出して、選んでいる。
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