† of Ogre~鬼の心理
第二十四節
† 第二十四節
まるで、いざなわれている気がした。いや、まるでではなく、事実いざなわれているのだろう。
浮かされた熱は幻であり蜃気楼であり、決して私を支えてくれる壁とはなりえない。
だから私は、ガードレールに片手を突くことで姿勢を保っているのだ。
私を浮かす熱は、幻か。いや違う。幻を超えて、声となっている。
声は幻聴。いや現象。事実となって聞こえている。
すなわち、
―― こっちだよ ――
という得体の知れない言霊となって。
朝と昼との間。微妙な時間帯。
学生である私にしてみれば、この時間の街は新鮮だった。
休日とは違う昼前は、やけに安穏とした陽光だけで編み込まれた、鳥籠のような世界だった。
私の偏見で、こんな時になんだが、モナリザをイメージする。
格調高く、それでいて穏やかな表情。かといって、現代でいえば絶世のとは言いがたい美女。いや、美女であるかも微妙か。
穏やかでありながら納得できず、美しいと評されているものの、ああ、やはり納得ができない。
同じように、穏やかだ、静かだと言いたくても、そうもいかない。
まるで、いざなわれている気がした。いや、まるでではなく、事実いざなわれているのだろう。
浮かされた熱は幻であり蜃気楼であり、決して私を支えてくれる壁とはなりえない。
だから私は、ガードレールに片手を突くことで姿勢を保っているのだ。
私を浮かす熱は、幻か。いや違う。幻を超えて、声となっている。
声は幻聴。いや現象。事実となって聞こえている。
すなわち、
―― こっちだよ ――
という得体の知れない言霊となって。
朝と昼との間。微妙な時間帯。
学生である私にしてみれば、この時間の街は新鮮だった。
休日とは違う昼前は、やけに安穏とした陽光だけで編み込まれた、鳥籠のような世界だった。
私の偏見で、こんな時になんだが、モナリザをイメージする。
格調高く、それでいて穏やかな表情。かといって、現代でいえば絶世のとは言いがたい美女。いや、美女であるかも微妙か。
穏やかでありながら納得できず、美しいと評されているものの、ああ、やはり納得ができない。
同じように、穏やかだ、静かだと言いたくても、そうもいかない。