† of Ogre~鬼の心理
「どっちに行けばいいの……?」

―― こっち ――

「どっち?」

―― こっちだよ ――

それは天恵だったのか、ただの勘違いなのか、それとも思い込みか……

風が吹いた。

私の右から左へ、空気中の微粒子が舞っていく。私の髪が少し撫でられる。雲までも、空を進んでいた。

すべてが言っている。すべてが行っている。左へ――つまり南へ行けと。

「わかったわ」

うなずいて、進む。

今寄りかかっているガードレールから離れ、左の道に入った。

足がぐらつき、道なりの塀に寄りかかる。

息が苦しい。頭の芯が漠然としていて、それでありながら、錐で刺したように傷む。

足がずきずきするのは、単に裸足だからだろうか……。

慌てて出てきたせいで、靴すら履いていない。服装も、寝巻きにしているひとえだけだ。
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