† of Ogre~鬼の心理
―― さあ、真輝。こっちだよ。がんばって ――
声に励まされ、私はいつしか俯けていた顔をあげた。いっそ、空をまで見上げる。
雲より高いところで、太陽は南中に近づこうとしていた。
やや視線を落とせば、オレンジに縁取られたカーブミラーに私が映っている。
自分で見てもわかるほど、顔が赤い。肩で息をしているし、顔や首筋には、汗で髪が貼りついていた。
―― さあ、真輝。早く。時間がないよ ――
ひうるりと、また風が吹いていく。
やはりそれは、北から南への道しるべか。
私は苦笑してやった。
「急かすんじゃないわ――藤岡」
密かに、懐の中に入れているものを握り締める。
それは硬質に、堅実に、明確に、そこに、あった。
声に励まされ、私はいつしか俯けていた顔をあげた。いっそ、空をまで見上げる。
雲より高いところで、太陽は南中に近づこうとしていた。
やや視線を落とせば、オレンジに縁取られたカーブミラーに私が映っている。
自分で見てもわかるほど、顔が赤い。肩で息をしているし、顔や首筋には、汗で髪が貼りついていた。
―― さあ、真輝。早く。時間がないよ ――
ひうるりと、また風が吹いていく。
やはりそれは、北から南への道しるべか。
私は苦笑してやった。
「急かすんじゃないわ――藤岡」
密かに、懐の中に入れているものを握り締める。
それは硬質に、堅実に、明確に、そこに、あった。