† of Ogre~鬼の心理
第二十五節
† 第二十五節
店主はなかなかに豪気な男であるし、なかなかにおもしろい男だ。
だから俺のような、世間ずれしているだろう女でも雇ってくれている。
だが時として、その雪男じみた風体からは予想もできない細やかな配慮、いやむしろ余計である気が利きすぎるのがネックだ。
たとえば、俺を訪ねてきた狐目男のために小休憩をくれるなど、まったくもって要らん世話だ。
「いやはや、なかなかすばらしいご店主ですな。アナタをこのようにレンタルしてしまって、果たしてよいものか、ふふ」
「よいものかと思うのならば、とっとと解放してくれると嬉しいんだがな」
「おや、釣れない言葉ですな。そんなにも私との会話が嫌ですかね」
「反吐が出るほどにな」
罵詈に対し、一ミリの苦笑すら作らない狐目の男は、肩を竦めた。
そして俺の言葉ではなく、態度に対して初めて苦笑してみせる。
店の入り口からはもちろん、衝立のせいでカウンターからも微妙に見えづらい最奥。
店主と、闇取引にはもってこいだな、などの冗談を交わした席に、俺とヤツは腰掛けている。
まったくもって不愉快なことに、正面から向き合って、仲良くコーヒーを啜りながらだ。
店主はなかなかに豪気な男であるし、なかなかにおもしろい男だ。
だから俺のような、世間ずれしているだろう女でも雇ってくれている。
だが時として、その雪男じみた風体からは予想もできない細やかな配慮、いやむしろ余計である気が利きすぎるのがネックだ。
たとえば、俺を訪ねてきた狐目男のために小休憩をくれるなど、まったくもって要らん世話だ。
「いやはや、なかなかすばらしいご店主ですな。アナタをこのようにレンタルしてしまって、果たしてよいものか、ふふ」
「よいものかと思うのならば、とっとと解放してくれると嬉しいんだがな」
「おや、釣れない言葉ですな。そんなにも私との会話が嫌ですかね」
「反吐が出るほどにな」
罵詈に対し、一ミリの苦笑すら作らない狐目の男は、肩を竦めた。
そして俺の言葉ではなく、態度に対して初めて苦笑してみせる。
店の入り口からはもちろん、衝立のせいでカウンターからも微妙に見えづらい最奥。
店主と、闇取引にはもってこいだな、などの冗談を交わした席に、俺とヤツは腰掛けている。
まったくもって不愉快なことに、正面から向き合って、仲良くコーヒーを啜りながらだ。