† of Ogre~鬼の心理
狐目は悠長に指を組み合わせ、テーブルに肘を突いた。

「今回、私はアナタの敵ではないというのに。偏見はよくありませんねぇ、草薙仁さん?」

「いちいちフルネームで呼んでくれるな。逆にいらいらする」

赤茶色が滴り募り漆黒へと変化しているコーヒーのみなもには、俺の顔が映っている。

その中の俺も、「なぜこんなヤツの話し相手になってやらねばならないのか」と、眉間のしわを隠していなかった。

ちなみに、俺の手前に置いてあるのも、ヤツの手前に置いてあるのも、どちらも俺が入れたものだ。

正直、なにが悲しゅうてこの宿敵にコーヒーを入れてやらなければならないのか。

店主の「入れてやったらどうだ?」という目がなければ、絶対にほったらかしにしてやるものを。

(昨日もそうなら今日も厄日だな。なんだ? 星か。それとも時空か。なんの因果だ、この不幸は)
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