† of Ogre~鬼の心理
下らんことを考えていると、ヤツが言った。

「ところで、本日私がアナタを訪ねた理由は、おわかりになりますかな」

俺は、それはそれは無礼に見えるよう、肩を竦めてやった。

「さぁてな。お前の腹の底なんぞ、見えても知れても『わからん』と答えてやりたいところだ。お前なんぞ、毛ほども理解してやりたくない」

真似るように、ヤツも同じ調子で肩を竦めてくる。

「ふむ。相当に嫌われておりますな、私は。なにゆえでしょうねぇ。普段より言葉も汚い」

「そこは自分の胸に聞くんだ、一ツ橋。俺のは何千年分の恨みだろうかな、はっ。それに、お前を嫌ってるのは俺だけじゃないだろ?」

「いやはや、いやはやまったく、実にその通りですよ。教会は嫌われてばかりでしてな。どうにも報われない。難儀な職に就いたものですよ私も」

狐目男・一ツ橋は、そうしてようやくカップに手をつけた。

「実は、興味深い事象が見られましてな、この土地で」

「興味深い?」

「そう。なんと言いましょうかねぇ。簡単に言えば、なにかが起こっている、と」

「簡単に言い過ぎだ、あほう」
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