† of Ogre~鬼の心理
わざとらしいを通り越し、ただ底意地の悪いだけの男だ。俺をおちょくっているとしか思えない。

コイツとは初めて逢った時からこうだ。

なにかにつけ煙に巻こうとする態度。他人を見透かしたような物言い。

過去、コイツに味わわせられた辛酸がなくとも、俺はコイツが嫌いだ。

そもそもいったい、なにが起こっていると言いたいのか。

一ツ橋という男は奇妙で、奇抜で、底が知れない。

――いいや。それでも予想くらいはして見せよう。一ツ橋の掌の上というのも、まったくもっておもしろくない。

ヤツの目的を探ればいい。今このときに、俺の前に現れた。ということは、その起こっている事象とは、少なくとも俺に関係することだ。

心当たりと、教会が動くほどの理由と考えれば……答えは、必然的にひとつへ絞り込める。

「あの女……お前はなにか知っているのか、一ツ橋」

まるで西洋童話にでも出てきそうな、黒ワンピースの女。

正体は不明。あの女が用いていた攻撃手段も不明。

こちらが負わせた手傷をまったく無意味なものにした、存在の異常な回復についても、タネは不明。

そんな女のことを、一ツ橋が知っている?

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