† of Ogre~鬼の心理
ヤツはまた一口、コーヒーを飲んだ。

にやり……いや、くすりと、ヤツの口角が緩む。

「ふむ。さすがに、美味いコーヒーを入れますな」

「伊達に長生きはしとらんさ」

「このまま店を継げますな」

「いいから早く話せ」

「はいはい。えー、では、どこからお話ししましょうか。そうですね、この地には姉妹の巫女が来たのですよ。数百年と昔の話です。それはご存知ですか」

「ああ、知っている」

表にはならない歴史として、調べればその手の話はいくらでもある。

この大木市とて同じだ。

いや、特にこの大木市は、といったほうがいい。大木市には、カルトマニアが涎を垂らすような血なまぐさい話が、ごまんとある。

「ならば、その姉巫女と妹巫女が、この地でどうなったかについては?」

「知っている。姉巫女は土地の者に殺され、妹巫女はその復讐を行ったんだろう」

「ええ、大まかには、そうなります。ですが、その詳細を私は知っているのですよ。なにせ、この目で見ておりましたからね。もちろん遠方からでしたが」

「は、そうかいそうかい」

と、いっそ軽快に笑ってやった。
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