† of Ogre~鬼の心理
俺もそうなら、一ツ橋も相当な年数生きている男だ。

一世紀だの二世紀だの、そんな規格には収まらない。なにせ俺が紀元前を覗きに行った時にさえいた男だ。

俺や一ツ橋は『狭間』や『時空』を超える方法を知っているし、実行もできる。

過去に戻れば、新しい、そして同じ数百年を送ることができる。

俺はその方法である人物を探し回ったりしたのだが……とうとう見つけられず、今はこうして隠居しているというわけだ。

何度、世界と時間を跨いだか知れない。

そしてその行く先で何度、一ツ橋と遭遇したかも数え切れない。

そんな生活だから俺も、コイツも、見た目と年齢が一切釣り合っていないのだ。

もしかしたら、ヤツにとって今この『現代』は、二度目三度目かもしれない。そんな話にまでなってくる。

そういう時間軸にある一ツ橋の口から、数百年前の大木市でなにが起こったのか、実際にその目で見ていたと言われたところで、なんの驚きもない。

ただ、頷いてやるだけだ。
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