† of Ogre~鬼の心理
「ずいぶん急な話だな。運よくとはいえ、都合がよすぎる。なぜ俺達に、突然現れたお前がそれを話す? 答えろ。情報の『代償』に、お前はなにを要求するつもりだ? え? 〝九尾の末裔〟」

俺がもし、あと三百歳若ければ、火の玉でも発現させて凄んでいたかもしれない。が、そんな見た目の脅迫は、この男には通じない。

†という本質概念を達観する〝九尾の末裔〟にとって、肝心なのは見た目より中身となる。

だから、目だけで訴える。

なにか裏があるのなら、今のうちに吐いておけと。

「いいえいえ、そんなにえげつないことは考えていませんとも。ただ――」

一ツ橋は、ぱちんと音がしそうなくらい勢いよくウィンクした。

「我々教会に協力していただきたい一手間がある、それだけです」

「……ああ、そうかよ」

それはまったくもって、気持ちの悪いウィンクだった。

今飲んだばかりのコーヒーを、盛大に吐いちまいそうだ。

おかまのウィンクのほうが云十……いや、云百倍かわいげがある。
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