† of Ogre~鬼の心理
事態への猜疑と現状への不満が混濁し混沌し混乱する。

だから気持ちが悪い。気持ちが悪いから、なにかがきりきり悲鳴をあげていく。

決してねじれてはならない方向に、ベクトルがかかっている気がした。メーターの矢印が、レッドゾーンなど無視して振りきってしまいそうな気がした。

体か心か頭脳か理性かが、蒸気を噴射している。

「さあ」

そうして、

「わたくしは存じません」

女の返答が、私を文字通り〝鬼〟へと変貌させた。

深層意識のいずこかで、ついに弾け飛んだタガの破片が、火花を散らした。

ねじくれていた背筋を、ばね仕掛けのように伸ばしたならば、

 、、、
「ならば――」

私が、切り替わる。

女の斜め後ろにあるカーブミラーには、ちょうど私が映っていた。

血を溜めたような鮮紅の眼を爛々灯す、鬼たる私。

真正の鬼を宿す存在、その器――真鬼。

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