† of Ogre~鬼の心理

第二十八節

† 第二十八節



昼前になると、さすがにフレイヴァーもまかない屋である、ここのスパゲッティやらオムライスやらを気に入っている人間が、ぞろぞろとまではいかなくとも、やって来る。

飲食系列の店はまさしく、これから忙しくなるという時に、

「――ったく、あのお嬢さまは……なに考えてんだ」

市の南側から並々ならない、陽炎が踊るような殺気の塊を感じ取った。思わず天井まで視線をあげ、失笑が漏れてならない。

この、こめかみの辺りにきりきりと来る頭痛にも似た気配は、間違いない。

〝鬼姫〟と異名を取る、東城のお嬢さまだ。

しかもなんの因果か、その極至近距離に、昨日やり合った女の気配までもある。

そう、数百年前、この土地で死んだはずの、姉巫女の気配がだ。

いいや、あるというよりも、両者の気配が混濁している。

これは交戦の空気だ。
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