† of Ogre~鬼の心理
店主と一ツ橋の視線が、生糸をよるようにかち合う。
コイツで本当に大丈夫なのか? と不安がった店主と。
これまたおもしろいことを。と余裕じみた一ツ橋と。
狐目と、雪男が見つめ合う構図は――鼻血が出そうなくらい魔的で、笑えてしまった。
「じゃあ、あとは頼む! 悪いな!!」
「お、おい草薙! おいーっ!!」
さすがに二人のやり取りを最後まで見てやる余裕は、あらゆる意味でない。
逃げるように、終われるように、俺はカフェを飛び出した。
店主の叫びとベルの音色を背中で聞く。もしも文句があるなら、あのお嬢さまに言ってくれと返したい。
なんにせよ、まずはアルと連絡を取らなければならない。
走りながらジーンズのポケットから取り出したしわくしゃの紙切れには、遠く離れた相手とも通話を可能にする術式が構築されている。同じものを、アルと真輝にも常備させている。
まあこんなものを持っている実を言うと……俺は、ケータイ電話というものを持っていないのだ。
紙切れを、受話器のように耳に当てる。そして叫んだ。
コイツで本当に大丈夫なのか? と不安がった店主と。
これまたおもしろいことを。と余裕じみた一ツ橋と。
狐目と、雪男が見つめ合う構図は――鼻血が出そうなくらい魔的で、笑えてしまった。
「じゃあ、あとは頼む! 悪いな!!」
「お、おい草薙! おいーっ!!」
さすがに二人のやり取りを最後まで見てやる余裕は、あらゆる意味でない。
逃げるように、終われるように、俺はカフェを飛び出した。
店主の叫びとベルの音色を背中で聞く。もしも文句があるなら、あのお嬢さまに言ってくれと返したい。
なんにせよ、まずはアルと連絡を取らなければならない。
走りながらジーンズのポケットから取り出したしわくしゃの紙切れには、遠く離れた相手とも通話を可能にする術式が構築されている。同じものを、アルと真輝にも常備させている。
まあこんなものを持っている実を言うと……俺は、ケータイ電話というものを持っていないのだ。
紙切れを、受話器のように耳に当てる。そして叫んだ。