† of Ogre~鬼の心理
幸いにも、風間少年から聞きたいことは、ちょうど聞き終えたところだった。
「おい」とか「こら」とか、口荒くまくし立ててくる付箋をズボンのポケットにねじ込み、少しでも音量を抑える。
実際の口を押さえてているわけではないから、発音そのものがこもることはない。
仁が余計なことを大声で言ってしまったら、風間少年に聞こえてしまう。
ごまかそうごまかそうと思って、僕の声も大きくなった。口を開く。
「君の話はだいたいわかった。おかげで僕の疑問もひとつ解消されたよ。お礼を言うね」
『あ、それじゃあ……』
なにかの期待を孕んでいる半端な言葉に、僕は、相手に見えないながらはっきりと頷いた。
「ああ、真輝ちゃんのことは僕に――いや、僕らにかな、どんと任せてくれていいよ。大丈夫だから。それじゃあ、切るよ」
『はい』
と、返事をしてすぐに、風間少年は自分から電話を切った。
ぶつ、という無愛想な音が、僕の鼓膜を突っつく。
「おい」とか「こら」とか、口荒くまくし立ててくる付箋をズボンのポケットにねじ込み、少しでも音量を抑える。
実際の口を押さえてているわけではないから、発音そのものがこもることはない。
仁が余計なことを大声で言ってしまったら、風間少年に聞こえてしまう。
ごまかそうごまかそうと思って、僕の声も大きくなった。口を開く。
「君の話はだいたいわかった。おかげで僕の疑問もひとつ解消されたよ。お礼を言うね」
『あ、それじゃあ……』
なにかの期待を孕んでいる半端な言葉に、僕は、相手に見えないながらはっきりと頷いた。
「ああ、真輝ちゃんのことは僕に――いや、僕らにかな、どんと任せてくれていいよ。大丈夫だから。それじゃあ、切るよ」
『はい』
と、返事をしてすぐに、風間少年は自分から電話を切った。
ぶつ、という無愛想な音が、僕の鼓膜を突っつく。