† of Ogre~鬼の心理
「今日一日は肌身離さず持ち歩いとけ。今朝からお前、イヤな気配が残りすぎだ。見るヤツが見れば、あっという間に勘づかれるぞ」
「……」
それは、非常にまずい。
恐らく残留した私の高揚が、まだこの体から漏洩しているのだろう。
「わかった」
手の中でくしゃくしゃになっている紙切れを、そのままスカートのポケットへ入れる。
仁はあまりいい性格はしてないし、ひねくれ者だが、こういう妙な気配りはできるヤツだ。
もっとも、だからこそ一緒に暮らしているのだが。
玄関へ向き直り、ローファーのつま先を二、三度蹴りながら――
ついでとして、私も妙な気配りをしてやった。
「仁、アナタは言葉遣いと見た目を意識したほうがいいわ」
「あん?」
「自分でわかってるかしら? アナタ、実はすごく美味しそうな女なんだもの。その辺の男にはもったいないくらいね。せっかくだから磨いても損はないわよ?」
「……お前が言うと世辞にすら聞こえんな。ほっとけ」
やはり余計なお世話だったか。
私は仁から蹴りを食らった。
「……」
それは、非常にまずい。
恐らく残留した私の高揚が、まだこの体から漏洩しているのだろう。
「わかった」
手の中でくしゃくしゃになっている紙切れを、そのままスカートのポケットへ入れる。
仁はあまりいい性格はしてないし、ひねくれ者だが、こういう妙な気配りはできるヤツだ。
もっとも、だからこそ一緒に暮らしているのだが。
玄関へ向き直り、ローファーのつま先を二、三度蹴りながら――
ついでとして、私も妙な気配りをしてやった。
「仁、アナタは言葉遣いと見た目を意識したほうがいいわ」
「あん?」
「自分でわかってるかしら? アナタ、実はすごく美味しそうな女なんだもの。その辺の男にはもったいないくらいね。せっかくだから磨いても損はないわよ?」
「……お前が言うと世辞にすら聞こえんな。ほっとけ」
やはり余計なお世話だったか。
私は仁から蹴りを食らった。