† of Ogre~鬼の心理
女は、わたくしを、殺す気だ。

が、残念に……わたくしに敵うわけがない。叶うわけがない。

人間がこのわたくしを討伐することなど、不可能だ。

絶対という自信が、わたくしの血脈には流れている。濃縮されている。

そう、真輝を封じ込み、真輝を乗っ取り、真輝を操るこのわたくしが、その最たる証拠だ。

東城の〝鬼姫〟が、無限昇華の血族が、このわたくしが、人間ごときに敗北するなど、ありえない。

返り討ちにしてくれよう。女の思惑を踏破超越すればよい、それだけの話なのだ。

――と、女が暗いトンネルの中へと逃げ込んだ。いいや、逃げ込んだのではなくそれも、わたくしを誘い込んでいるのだろう。

わかっているとも、わかっている。

女はわたくしを仕留めることが目的であり、同時に、戦いの余波が人間や街に及ばぬよう、考えているのだ。

彼奴がわたくしを討伐する理由は、自分のためではない。人間のためだ。

わたくしにはわかる。そのために、街に被害が及ぶのは好むところではないのだろう。

女のような人間を、わたくしの血が覚えている。細胞が覚えている。

間違いない。あの女は、そういう者だ。
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