† of Ogre~鬼の心理
横幅の広いトンネルの入り口には、赤いコーンが二つ並んでいる。

コーンとコーンを結ぶ黄色いテープには、進入禁止の文字が黒くあった。

たしかここは、南区と北区を、中心街の地下を経由して結ぶ、全長数キロにも及ぶ地下街の入り口だ。

名は……忘れた。数年後には完成する計画らしい。

真輝の――ああいや、わたくしのクラスメイトらがここの完成を待ち望んでいるが……

今は工事が始まってからの、中緩みのの時期だろう。入り口から覗いてみても、人の気配はまったく感じられなかった。

本当に数年計画で完成するのか、怪しいものである。

だが……むしろ、よいではないか。

人がいないのならば、好都合だ。この中でならば、いかように女が悲鳴をあげようと、それを堪能できるのはわたくしだけとなる。

じっくりと、久方の世間というものを味わおう。

真輝も、そう望んでいよう。
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