† of Ogre~鬼の心理
「では参るぞ、女」
身構えると同時に、五感を体から溢れ出させる。
聴覚に視覚など、拡大できるすべてを空間へ侵食させていく。
真輝が行う逃避法・孤立無縁領域の対となる、わたくしが用いる狩猟法・五感拡張領域だ。
わたくしの感覚と存在を空間という領域へ侵食させ、世界そのものを濃密に認識する。
領域と認識を連結させ、さらに押し広げれば、わたくしの五感は体から溢れ出す。
アルには敵わないが、相応の範囲を認識できるのだ。
実際に触れていない物質の硬度を知り、温度を知り、物陰の姿や音さえ拾う、わたくしという存在の拡張。
空間そのものを己と化す狩猟法の果てに――
「見つけた」
わたくしは、女の姿を捉えた。
物陰にひそみ、息を殺している。
しかし、無意味だ。
その心音を、空間そのものに侵食したわたくしの聴覚が捉えている。体温を、わたくしの触覚が捉えている。片膝を突いた姿を、わたくしの視覚が捉えている。
すべてが、空間そのものであるわたくしには、丸見えなのだ。
お前のいるそこは、私の感覚の中なのだから。
かくれんぼは、終わりにしてくれよう。
身構えると同時に、五感を体から溢れ出させる。
聴覚に視覚など、拡大できるすべてを空間へ侵食させていく。
真輝が行う逃避法・孤立無縁領域の対となる、わたくしが用いる狩猟法・五感拡張領域だ。
わたくしの感覚と存在を空間という領域へ侵食させ、世界そのものを濃密に認識する。
領域と認識を連結させ、さらに押し広げれば、わたくしの五感は体から溢れ出す。
アルには敵わないが、相応の範囲を認識できるのだ。
実際に触れていない物質の硬度を知り、温度を知り、物陰の姿や音さえ拾う、わたくしという存在の拡張。
空間そのものを己と化す狩猟法の果てに――
「見つけた」
わたくしは、女の姿を捉えた。
物陰にひそみ、息を殺している。
しかし、無意味だ。
その心音を、空間そのものに侵食したわたくしの聴覚が捉えている。体温を、わたくしの触覚が捉えている。片膝を突いた姿を、わたくしの視覚が捉えている。
すべてが、空間そのものであるわたくしには、丸見えなのだ。
お前のいるそこは、私の感覚の中なのだから。
かくれんぼは、終わりにしてくれよう。