† of Ogre~鬼の心理
鮮血が噴火する。爪が女の肉をこそぎ取り、皮膚の肌の内蔵の裂ける感触が指に絡まる。

女の瞠目した表情が、喀血に彩られた。

暗い昏い闇にあって、わたくしの眼は舞い散り飛び散る血の一滴一抹をも視姦する。

「く……っ、くはは、くふはははは……っ!!」

笑いが、止まらなかった。

わたくしのほうが、ヤツの奇襲を上回ったのだ。

言っただろう。言っただろう。女の思惑を、踏破超越してやればよいだけだと。

反撃に及ばず、振り抜きの中途にあった女の腕がだらりと下がる。

ああ、その痙攣する白百合のような指を、わたくしは愛でてやりたい。食べたいほどに。

女のどてっ腹に肘まで突き刺した状態で、わたくしは右腕を持ち上げた。

女のたおやかな足が、容易く地から浮く。女の腹から流れ出している媚薬が、腕を伝い肘を濡らし、ひとえの中、脇や胸、腹部まで濡らしてきた。

帯の内側に生ぬるさが滞留し、心地よく強烈なにおいが、わたくしの食欲をつんざく。

ああ、食ってしまいたい。食ってしまおう。食ってしまえ。食おう。

(さすれば、わたくしの血脈をたぎらせているこの熱も発散でき――)
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