† of Ogre~鬼の心理
出口は真上なんだ。吹き飛ばされるわけにはいかない。

全身全霊を込めて踏ん張った僕は、気力でジャンプした。一気に、奔流から抜け出す。スーツがずたぼろになっていた。

トンネルを脱出し、宙高く飛び上がったここまで、地下の轟音が響いてくる。

まるで大蛇が暴れているような、鈍い音だ。

と、穿ったばかりの穴から、黒い物体が飛び出してくる。無論、女だ。

その右手が、槍でも構えるように、錫杖を横に振り被っている。

「逃がす、ものですか!」

しゃらんらん!

再び、あの鈴の音が一陣。横一文字に振り抜かれた錫杖の軌跡をたどり、三日月型の殺意と、あの衝撃波が押し迫る。

もし飛行機にでも当たろうものなら、胴体を真っ二つにして空中で爆発させてしまうような破壊力だ。

それへ、

「悪いけど、」

右腕――狼の面を向ける。

「逃がしてもらうよ!!」
< 293 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop