† of Ogre~鬼の心理
大口をガッパリと開けて、食らっていた岩塊を吐き出した。

すさまじい炸裂音と、崩壊音。

女の姿と不可視の破壊が、岩の向こうへと消える。

「おの、れぇ……!」

憎悪と口惜しさを叫ぶ声を耳にしつつ、腕を人間型に戻して、呼び掛けた。

「仁!!」

《応よ!!》

僕は片腕に真輝ちゃんを抱えている。

今のまま戦っても僕のほうが不利だ。

女は本体を叩かなくては意味がない。

目前のは分身であって本体じゃない。

つまり、ここはやはり、一度脱出だ。

仁が言った、天井をぶち抜いて飛べ。

そうして、僕は、言うとおりにした。

彼女には思惑があっての指示なのだ。

《南区配置の第四十五番刻印を起動、『門』と定義! 魔術公式『転送』のもとに、『目録』登録者二名を確保せよ!!》

その時、斜め下でひときわ派手な爆破音が轟いた。

「こぉ、のぉぉおお!!」

「うえっ……!?」

女が、砕き割った岩と岩の間をすり抜け、それを蹴りつけ、さらに追ってくる。

その右手がまた構えているのは、暴風波動を生み出す錫杖。
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