† of Ogre~鬼の心理
どうして、こうもすっぽり忘れていたのか。
俺はたしかに人の顔や名前やらを覚えるのは苦手だが、綺麗さっぱり過ぎるこの忘却に、どうもあのガキの手が加わっていそうで気に食わない。
舌打ちが、風に混じった。
「っ、一ツ橋といい、古来の巫女といい、挙げ句には運命観察のガキの亡霊か……かー、イヤなもんばっかり思い出す日だ、ったく」
「えっ、一ツ橋さんが来てるの?」
「アイツに『さん』なんてつけるな、気色悪い」
目の前にいるのはアルだが――アルも黒い服を着ている。
一ツ橋の名前を聞くだけでつい、誤って、そう誤りにも誤って、アルに唾を吐きかけてしまいそうだ。
もちろん、だから、誤ってだ、誤って。
「それよりも、」
と、その解せん二人について質問を続行――
「その、亡霊になったはずの藤岡少年の話を、」
――した俺は、
俺はたしかに人の顔や名前やらを覚えるのは苦手だが、綺麗さっぱり過ぎるこの忘却に、どうもあのガキの手が加わっていそうで気に食わない。
舌打ちが、風に混じった。
「っ、一ツ橋といい、古来の巫女といい、挙げ句には運命観察のガキの亡霊か……かー、イヤなもんばっかり思い出す日だ、ったく」
「えっ、一ツ橋さんが来てるの?」
「アイツに『さん』なんてつけるな、気色悪い」
目の前にいるのはアルだが――アルも黒い服を着ている。
一ツ橋の名前を聞くだけでつい、誤って、そう誤りにも誤って、アルに唾を吐きかけてしまいそうだ。
もちろん、だから、誤ってだ、誤って。
「それよりも、」
と、その解せん二人について質問を続行――
「その、亡霊になったはずの藤岡少年の話を、」
――した俺は、