† of Ogre~鬼の心理
「あ。――そう、まだ、聞こえる」

「真輝ちゃん!」

熱い、熱い熱い熱い、熱い、だから、藤岡――私はアナタに逢いに行く。

アルと仁の横をすり抜け、私は一歩踏み出した。

なにもない、中空へ。

踏み締められる地面は、ない。

ここは高所。

背後で二人がなにかを叫んだ、気がした。

体が自由落下を始める。

(藤岡――ねぇ藤岡、アナタは――)

―― さあ、真輝 ――

(今、どこ?)

―― 約束を果たすよ。こっちへ ――

(わかったわ)

全身を風に任せた一瞬を経て、私はいつの間にか閉じていた目を、開いた。

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