† of Ogre~鬼の心理
「どう見ます、アルさん」

考え事は腕組をしながら。それが内村のスタイルだ。

僕はただの棒立ち。訊かれているのは、遺体の状態について。

「どう見るもなにも……」

犯人はウチに住んでいる東城真輝なのだから、推理など必要ないのだが。

「常軌を逸した、猟奇的殺人――というのが、新聞の見出しではちょうどいいかな」

無論真輝ちゃんのことを言えるわけがないし、言うつもりもない。

そこまで含めて僕らは利害関係の一致を得ているのだし、そんなこと、人間社会とは無関係なのだ。

「なんなんですか、それ」

と、内村は笑う。

不謹慎という言葉は、あまり彼の中にはない。やってしまってから、あ、すみません、と謝るタイプだ。
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