† of Ogre~鬼の心理
「当初の予定を少し蒸し返すぞ。俺がヤツを引き付ける。で、やっぱり前衛はお前だ。ひじり公園に直行して、ヤツの本体をぶっちめてこい。本体は、俺がわかりやすいようにあぶり出しといてやる。亡霊云々の藤岡少年については――後回しだ」

「……オーケィ。わかった。今やるべきことを優先しよう。……じゃあ――」

拳が持ち上げられ、

「やろうか、僕らの、平和のために」

「応とも。平和のために」

それと、俺の拳とをかち合わせた。

こんな俺達だ、さすがにやはり、『平和のために』という言葉には少し笑ったが……その通りだ。

生きるために、平和に暮らすために、余儀なくされる戦いは、あるんだ。

ピストルが鳴ったように、アルが駆け出す。真輝にはいろいろ言ったくせに、本人はやはり思いきりよく、ふちを蹴った。

自由落下へいざなわれるアルの体が、空中で横広くなっていく。

足が短くなり、伸ばされた腕がさらに伸びる。胴と腕の間に張り渡されるのは、暗幕のような翼。

ほんの一秒ほどで、人間を抱えて飛べそうな巨大蝙蝠が、羽ばたきを始めた。

それが南へ向かって飛翔して行く様を見ると、本当に、アルが人間ではないことを認識させられる。
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