† of Ogre~鬼の心理
定義された現象は、実質作用する。

これでまた、あの南区に限定した話だが、真輝やアルの超常は、一般人には認識も観測もされない。

『目録』登録している二人への、人間の感覚阻害、というのが仕組みだ。

もっとも、口で言うほど簡単じゃあない。なにせ俺独自の式なのだ。

「――っしゃ、やるとしゃーすか」

ぐ、っと伸びをひとつ。肘やら指の関節やら腰やら、ああ、実にいろいろなところがぽきぽきと鳴る。いいや、いっそぼきぼきか。ついでだ、首も柔軟しておこう。

ごぎんっ。

「はー……今いい音したなー、我ながら」

まあ運動不足だからな……。日頃から真輝に「姿勢が悪い」とどやされてもいるし。

「もしも一般人なら、生活習慣病が怖いねぇ、俺は」

……独り言は、この辺にしよう。

魔術師の真骨頂は、敵に姿を見せないこと。

究極的遠距離戦術が、本来のやり方だ。

昨日はさんざ追いかけ回された分、今日は俺の独壇場でいかせてもらう。

どうせ相手は分身だし、とうの昔に死んでいる。遠慮なくいこう。

泣いて詫びても許してやらん。
< 324 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop