† of Ogre~鬼の心理
窓の向こうには、切り取られた景色。こことは違う場所。

刻印、第二十六番から第三十五番に映る光景だ。

俺は魔法陣の中心で、十個のスクリーンを見ている形になる。気分は、一度に十個のライフルを構えたスナイパー、とでもいったところか。

その、『窓』のひとつ――デパートのアドバルーンに施した刻印からの像に、真輝やアルを追撃しようとビルの屋上へ跳び上がった女が、映る。

俺は女の背中を見て思った。

挨拶は、盛大にいこう。

右手を、その『窓』へ差し向ける。

「刻印を『砲門』と定義」

その掌で、とぐろを巻きながら火球が現れた。

俺が初めて手に入れた力であり、だからこそ最も使い慣れている、魔術とは違う超常。

契約に対する誠意、代償に対する報酬が支払われるこの力は、魔法という。

      ウリエル
「いくぞ…… 炎 」

火の玉が、そして当然のように、火を噴いた。

紅蓮の光線が、レーザーのように撃ち出されていく。

空中ではなく、『窓』に向かって。

正確には『窓』の中に向かって。

俺の『砲門』は火を噴いた。
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