† of Ogre~鬼の心理
女の体が、閃光の命中によってあっという間に焼きちぎれていく。――と思ったら、そのすぐ近くのビルに、女が現れた。

(違うな)

正しくは、本体がさらなる分身をそこに置き換えたのだ。

今焼却されてしまった思念体とまったく同じ、違う存在を。

だが、その女もすぐに撃ち焼いてしまう。

また現れた女を、焼き払う。

また現れた女を、また焼き砕く。

また現れた女を、また焼き貫く。

また現れた女を、また焼き飛ばす。

また現れた女を、また焼き裂く。

また現れた女を、また焼き――

「でええぃ、まどろっこしい!!」

手を『窓』に翳したまま、いくらなんでも歯噛みせずにはいられなかった。

いくらあの女が思念体であり、生きていない存在であり、存在の再構築が可能だとしても――

限度がある。

こっちの、我慢の限度だ。

「ったく、もっ、てっ」

女は、

「害虫みたいに」

その体が持たなくなる度に、

「うぞ、うぞ、とっ……!」

ぽ、とロウソクが灯るように現れる。
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