† of Ogre~鬼の心理
彼を見つけた途端にまるで、ずっと胸につっかえていた石が、すとんと腑まで落ちたようだった。
肉体が半透明であるということ以外にも、私の保有している情報とは少し、ほんの少し印象が違う。
それは彼が『あの時』からの延長線上の存在ではなく、『あの時』からここに固定されている、不変のものだからだろう。
いつかのあの日、私のなにかを一方的に理解した彼は、その『いつかの日』と同じ姿をしている。
フジオカがそうなように――私服登校の許される大木高校で学ランを着用する。それが藤岡悟のポリシーだった。いや、一種の儀式のようでさえあった。
私は胸に手をやり、
「久しぶり――って、私は言いたいわ」
そう、答えた。胸へやった手には、まだ、硬質なそれを握っている。握り締めている。
だって、私はずっと求めていたんだ。アナタを。
フジオカに藤岡を重ねてしまうほど。そして藤岡を幻視できるようになったフジオカを失うのが怖くなるほど。結果として、フジオカを嫌いにならなければならないほど。
肉体が半透明であるということ以外にも、私の保有している情報とは少し、ほんの少し印象が違う。
それは彼が『あの時』からの延長線上の存在ではなく、『あの時』からここに固定されている、不変のものだからだろう。
いつかのあの日、私のなにかを一方的に理解した彼は、その『いつかの日』と同じ姿をしている。
フジオカがそうなように――私服登校の許される大木高校で学ランを着用する。それが藤岡悟のポリシーだった。いや、一種の儀式のようでさえあった。
私は胸に手をやり、
「久しぶり――って、私は言いたいわ」
そう、答えた。胸へやった手には、まだ、硬質なそれを握っている。握り締めている。
だって、私はずっと求めていたんだ。アナタを。
フジオカに藤岡を重ねてしまうほど。そして藤岡を幻視できるようになったフジオカを失うのが怖くなるほど。結果として、フジオカを嫌いにならなければならないほど。