† of Ogre~鬼の心理
清浄すぎるがゆえにおぞましい鈴の音に、

「! 藤岡!!」

夢見心地だった意識を覚醒させられた。

とっさに、半透明といえど触れることは叶う藤岡を突き飛ばし、私も後方へ飛びすさる。

私と彼の中間を刹那、ほの青白い鎌鼬が斬り抜けた。と思ったが、藤岡は私が突き飛ばした瞬間、消えてしまってい。恐らく、いったん機能が止まったのかもしれない。

鎌鼬の発生源は、私からして右手。しゃらん。狭くはない、遊具が並ぶ空間。しゃらん。名前はひじり公園。しゃらん。私の身の丈を若干越える高さに整えられた生け垣を切り裂き、生け垣のレンガも割り砕き、今の一撃は放たれていた。

生け垣が見事、まっぷたつになっている。しゃらん。その向こうの地面も抉られ、溝ができている。しゃらん。さらに向こう、ちょうど軌道上にあった青いベンチが縦断されている。中央が切り抜かれ、落ち折れている。しゃらん。そのまた向こう、広い芝生は裂き剥かれ、赤茶けた土がはみ出ている。しゃらん。その向こうの、向こう。

しゃらんしゃらん。
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