† of Ogre~鬼の心理
「あの女は思念体、っていうか、あ、いや、古代の巫女で、えーと、つまりは即身仏が作り出した分身だ! 何人倒したって意味がない!!」

巫女、即身仏――その単語だけで、なぜこうも『東城』という名にこだわるのか、魑魅魍魎を祓うことに使命を抱くのか、ひどく合点がいく。

同時に、あの女が殺しても殺しても青白い燐となって霧散、また発生するのも、納得した。

もちろん、

「じゃあ、あのひじり公園の礎、あれがヤツの本体なのね?」

「たぶん、見たところ間違いない!」

この戦いに終止符を打つ手段も、得心する。それはアルも同じようだ。あれだけ煌々としていれば、それぐらいわかりもするだろう。

「そう、なら」

と、立ち上がった、

「あの本体を破壊すれば、それで片付くのね」

「なにが片付くのでしょうね?」

「!?」

その背後に、

あまりにも突然と、

ほぼゼロ距離で、

錫杖を掲げた状態で、

女がいた。

油断した。

今なら、理解できる。

女は分身を、どこにでも、どこにでも発現させられるのだ。
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