† of Ogre~鬼の心理
驚いてしまったがゆえに、反応ができない。

跳んで回避しても、女の攻撃圏内から逃れられない。

こちらから仕掛けるにしても、女のほうが速い。

どうする?

そう考えてしまったが最後、「どうにもできない」という歴然とした事実が、私を硬直させた。

見開いた眼――網膜に、錫杖の金と、女の白さと、黒い服が焼きつけられる。

そして、不覚にも固まってしまった耳に――

しゃらん――

「真輝ちゃん!」

鈴の音とアルの叫びを聞いた、まさに、これこそまさに、その時だった。
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