† of Ogre~鬼の心理
第三十八節
† 第三十八節
どーんなのか、だーんなのか、あるいはぼーんなのか、はっきりとは聞き分けられない爆音がした。
かと思えば、真輝ちゃんがとっさに振り上げたように見えた右の拳から、炎が発露していた。
その威力は、絶大。そして、いっそ素直な畏怖さえ覚えるほど、無慈悲。高熱と眩しさの中で、真輝ちゃんに奇襲を仕掛けた女は蒸発してしまった。
その背後にあった道路標識と信号、そして街路樹までもが、綺麗さっぱり、炎に飲まれた部分だけ燃え尽きて――まるで空間そのものが炎に、文字通り丸呑みにされたようだ。
だけど、どうして、
(真輝ちゃんから、炎が……!?)
あまりにも、ありえない。真輝ちゃんはたしかに、その血筋から言えばあらゆる可能性を秘めた蕾だ。
でも、だからといって、なんの脈絡もなく炎を発現させるなんてことは――
《アル!》
と、突然仁の声がした。僕からやや離れたところの白線に、子供の落書きと見紛うようなマーキングを見つける。紅く明滅している。
声は、そこからだった。
《アル、なにが起こった!? 今なにが起こったんだ!? 言え! 教えろアル!!》
どーんなのか、だーんなのか、あるいはぼーんなのか、はっきりとは聞き分けられない爆音がした。
かと思えば、真輝ちゃんがとっさに振り上げたように見えた右の拳から、炎が発露していた。
その威力は、絶大。そして、いっそ素直な畏怖さえ覚えるほど、無慈悲。高熱と眩しさの中で、真輝ちゃんに奇襲を仕掛けた女は蒸発してしまった。
その背後にあった道路標識と信号、そして街路樹までもが、綺麗さっぱり、炎に飲まれた部分だけ燃え尽きて――まるで空間そのものが炎に、文字通り丸呑みにされたようだ。
だけど、どうして、
(真輝ちゃんから、炎が……!?)
あまりにも、ありえない。真輝ちゃんはたしかに、その血筋から言えばあらゆる可能性を秘めた蕾だ。
でも、だからといって、なんの脈絡もなく炎を発現させるなんてことは――
《アル!》
と、突然仁の声がした。僕からやや離れたところの白線に、子供の落書きと見紛うようなマーキングを見つける。紅く明滅している。
声は、そこからだった。
《アル、なにが起こった!? 今なにが起こったんだ!? 言え! 教えろアル!!》