† of Ogre~鬼の心理
ここより中心街。

真輝ちゃんの高揚した意識が、遺体から漂う腐臭より鮮烈に、いっそ酔ってしまうほどかぐわしく、残留していることを。

そこが恐らく、真輝ちゃんの狩り場で……

(……? なんだろう。なにかいる)

と、その残留する気配との間に――



「ここ以外で殺害して、わざわざここまで遺体を引きずってきたんですか?

うへぇ、相変わらず、ますますもって穏やかじゃないですね」

「まあね」

内村がいったいなにを思い浮かべて『相変わらず』と言っているのかわからないが、まあ、頷いておいた。

こちらはこちらで、半ば、それどころではなかった。

――僕と、向こうとの間に、なにかがいる。

せっかくの清々しい朝を、そこに転がっている肉塊のように、その気配は泥を塗って踏みつけていく。

ああ、ひどくいやな予感がした。

一抹浮かんだその予感をどうにか拭い去れないかと思い、手袋を外してみたが、なにも変わりはしなかった。
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