† of Ogre~鬼の心理
霧化したまま移動して、数十メートル離れた商社ビルの屋上に実体化、降り立つ。
見れば、真輝ちゃんと女の逃走の合間に落下したのだろう信号機まで、アスファルトからの伝導熱だけで少し溶けているようだ。
仁じゃないけど、まったくもって冗談じゃない。
ウリエルの火をそれだけの出力で行使して、真輝ちゃんの器が持つだろうか。
――無理だ。
女の本体を焼き払い尽くす前に、真輝ちゃんが燃え尽きてしまう。
あの仁でさえ、ウリエルの炎は契約によって引き出している。契約は、一種のバルブ設置だ。適切な出力で炎を扱うための弁が、真輝ちゃんにはない。
安全装置のない火炎放射気は、暴発を余儀なくされる。
「う、ううあ、うああああああっ……!」
と、彼女の張り上げる声の種類が、変わった。
「! 真輝ちゃん!?」
頭を抱えて、上半身を振り回して、胃を引っくり返したような声が建物と建物、木々と木々とに反響する。それは紛れもない、苦しみ。体内で盛る熱量と温度に苦悶する喘ぎだった。
見れば、真輝ちゃんと女の逃走の合間に落下したのだろう信号機まで、アスファルトからの伝導熱だけで少し溶けているようだ。
仁じゃないけど、まったくもって冗談じゃない。
ウリエルの火をそれだけの出力で行使して、真輝ちゃんの器が持つだろうか。
――無理だ。
女の本体を焼き払い尽くす前に、真輝ちゃんが燃え尽きてしまう。
あの仁でさえ、ウリエルの炎は契約によって引き出している。契約は、一種のバルブ設置だ。適切な出力で炎を扱うための弁が、真輝ちゃんにはない。
安全装置のない火炎放射気は、暴発を余儀なくされる。
「う、ううあ、うああああああっ……!」
と、彼女の張り上げる声の種類が、変わった。
「! 真輝ちゃん!?」
頭を抱えて、上半身を振り回して、胃を引っくり返したような声が建物と建物、木々と木々とに反響する。それは紛れもない、苦しみ。体内で盛る熱量と温度に苦悶する喘ぎだった。