† of Ogre~鬼の心理

第三十九節

† 第三十九節



熱い――溶ける。熱い――燃える。熱い、煮える。熱い熱い、熱い熱い、熱い熱い熱い。

耐えられない。体の精神の魂の耐熱が続かない。

意思がとろけ、思考が焼かれ、呼吸が紅く染められていき、視界は赤黒く焦げ始める。

炎は私の体を焼くんじゃない。私の精神、魂、内側から蝕むように火勢を増してくる。

立っていられない。しかし崩れることすらできない。激烈の猛火が私を下から上へ煽り、高温の勢力が意識ごと昇天させようと呼吸を許してくれない。

燃える。焼ける。煮える。溶ける。焦げる。

およそ火という現象にたいして起こるすべての災禍が、私を、私を私を。

「あ、……あぁ、あああぁあぁ……!


私が燃える、私が焼ける、私が溶ける、私が、私が私が私が私が――

―― 大丈夫 ――

燃える燃える燃える燃える。

―― 大丈夫だよ ――

煮える煮える煮える煮える。

―― さあ真輝 ――

焼ける焼ける焼ける焼ける。

―― 僕がいる ――

溶ける溶ける溶ける溶ける。

―― だから安心して ――

なにもかもが濃厚な紅で犯される私の前に、

―― 約束は、守るよ ――

声が、そして姿が、現れた。現れてくれた。
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