† of Ogre~鬼の心理
第四十節
† 第四十節
がんと音が鳴るように鉄骨を一蹴することで魔術公式を停止させた俺は、
「ふん」
鼻を鳴らした。
「我、草薙仁。南区に展開中の定義『領域』の公式、及び『秘境』を解除。――ふん」
それは二度とも、自分でもおもしろいほど見事な、憮然とした鼻息だ。
理由は二つある。
ひとつは、あのお嬢さまはどうしてこうも毎度めちゃくちゃやってくれるのか。という、感嘆と呆れをない交ぜにした、不満だ。
作戦はうやむやになるわ、藤岡の思念体と融合することで器を強化し、ウリエルの火を吸収しきるわ――
挙げ句、結果オーライではあるがあの女を一撃で葬るとは、冗談ではなくなっている。
東城の血筋だ、というだけでは説明がつかないほど、真輝は、俺の予想からも知識からも規格外だ。
まったくもって、冗談じゃない。あんまりにも予想外で、拍子抜けさえする。なんだこの、勝ったのに勝った気がしない幕引きは。
「そうは思わんか? あ?」
そして、もうひとつの理由は、俺の背後にいる、ヤツだ。
がんと音が鳴るように鉄骨を一蹴することで魔術公式を停止させた俺は、
「ふん」
鼻を鳴らした。
「我、草薙仁。南区に展開中の定義『領域』の公式、及び『秘境』を解除。――ふん」
それは二度とも、自分でもおもしろいほど見事な、憮然とした鼻息だ。
理由は二つある。
ひとつは、あのお嬢さまはどうしてこうも毎度めちゃくちゃやってくれるのか。という、感嘆と呆れをない交ぜにした、不満だ。
作戦はうやむやになるわ、藤岡の思念体と融合することで器を強化し、ウリエルの火を吸収しきるわ――
挙げ句、結果オーライではあるがあの女を一撃で葬るとは、冗談ではなくなっている。
東城の血筋だ、というだけでは説明がつかないほど、真輝は、俺の予想からも知識からも規格外だ。
まったくもって、冗談じゃない。あんまりにも予想外で、拍子抜けさえする。なんだこの、勝ったのに勝った気がしない幕引きは。
「そうは思わんか? あ?」
そして、もうひとつの理由は、俺の背後にいる、ヤツだ。