† of Ogre~鬼の心理
背中で手を組んだ立ち姿は、えらそうだとか失礼だとかいうレベルでは言い表せない。はっきり言えば、その出で立ちそのものが不快だ。

宗教者でもないくせになぜ、コイツは真っ黒いロングスリーブの修道衣を着ているのか。

瞬間接着剤で筋肉を膠着させたように貼りつききった笑顔が気に入らない。細い狐目もなにを考えているのか。

ニコニコしているヤツほど、まったくもって腹の内が知れないのだ。

「そうは、とは、なにをそうはなのですかな?」

と、答えなんざ求めていないとわかっていながら律儀に質問の意図を聞き出そうとするのも、わざとだ。

一ツ橋――教会の者――俺は長年生きてきて、どうしてもコイツが好きになれない。なりたくない。

それは、悔しいが……非常に無上に悔しいが、コイツにはいつも出し抜かれるか利用されるかばかりだからだ。

今日も、今も、そうなのだ。今日は俺もコイツを利用してやったが……店の手伝いを押しつけたぐらいじゃ、てんで吊り合いやしない。

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