† of Ogre~鬼の心理
「ふむ。いいでしょう、お答えしますよ」

と、しかし、一ツ橋は思いのほか易く口を開いた。

一応、忠告しておく。

「代償を要求されても、出さんぞ」

ひらり。宙を一度だけ横に舞ったのは、ヤツの白く不健康な手だった。

「いいえいえ。ここは、そうですねぃ、あまりの信用のなさを回復するために、慈善事業といたしますよ」

「そうか」

ただより高いものはない、という言葉を思い出したが……一ツ橋は姑息な手段を使わない。

コイツは正々堂々と、汚く、腹立たしく、巧妙で狡猾な手を使うのだ。

だからこう言ったからには本当に、慈善事業なのだろう。相変わらず、企てがあるのかないのか知れないヤツだ。

一ツ橋は言った。

「鈴原家の事情ですからねぇ、私も完璧に知っているとは言えませんが……かつて、煤祓いの姉妹巫女は道を違えたのですよ。それは、あくまでも行き違いのようなものでしたがね、結果として仲を違え、道を違えたのは事実です」

「例の、大昔の話の続きか」

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