† of Ogre~鬼の心理
かつん、かつん、と鉄骨を踏み鳴らす細男が、

「ああ、そうです、草薙仁さん」

くるりと、顔だけこちらに向けた。狐目が若干開き、切れ長の視線が俺を捉える。ヤツの目は、墨が固まったような黒だ。

「これはあくまで私の想像なのですがね、東城のお嬢さん――ええ、東城真輝、ですか。あれに、姉巫女は引きずられてしまったのではありませんかな?」

「真輝に、か?」

引きずられた、その言葉は、あまりに得てして妙だ。

なにせ、あの礎が燐を放って目立ったのは、俺が炙り出したわけじゃない。結果として、アルや真輝がヤツの本体に気付きやすくなったのは、そうだ。が、あれは俺がそう仕向けたのではない。

言うなれば、真輝の力へ呼応するように、あるいは対抗するように、あの女は燃え上がった。

引きずられたという言葉は、あまりにしっくりき過ぎている。もちろん、ただの杞憂かもしれない。
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