† of Ogre~鬼の心理

第四十一節

† 第四十一節



アルひとりだけ。

「あー、とりあえずドリンクバーふたつ。それで、俺は、そうだな……うむ、唐揚げ定食。真輝、お前は?」

「ラザニアの洋食セット。それにピザとコーンスープをつけて、セットは、パンにしてちょうだい。ライ麦のほうね」

アルひとりだけが、この場にいなかった。

「かー、よく食うな、お前。そのくせ太らんとは、お前、カロリーをどこへ使ってるんだ?」

「うるさい、お黙り。アナタ、注文は以上でいいわ。行って」

「あ、はい、かしこまりました。それでは確認を」

「要らないから」

「でもあの、」

「反論のいとまは与えないわ。行け」

「は、はいっ」

慌ただしく会釈をして卓から離れていくウェイトレス。――の背を見送ってから、仁が捻っていた体を正面へ向けた。

ニヒルに、片眉だけ吊りあげている。常に飄々とした口が、今もまた、皮肉った声を発した。
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