† of Ogre~鬼の心理
「真輝ぃ、お前、高校を卒業するまでにもう少しまっとうな人間になれよ? 真人間にな?」

「世捨て人に言われたくないわ」

「はん、言うねぇ。まあ、どうでも構わんが……アルは間に合うかね。この晩餐に」

すでに夜である窓の外を見やった仁の横面へ、今度はこっちが肩を竦めてやる。

「どうかしらね。彼の職業は組織性を問われるし、職業そのものが特殊なものよ。一般人の観点からじゃ、一概には言えないわ。それは、悲観的な意味でね」

「要するに、いくらアイツでもへらへらとは抜け出せないってか」

「そうね」

からり。手にしたお冷やの中で、氷が回った。

「昨日の今日だもの、最悪、帰ってこないかもしれないわ」

「はーあ。こりゃあ、アイツの棺桶から金持ってきて正解だったな。そうでなかったら、朝までファミレスで待つことになってっぞ」

「そうね」

仁のぼやきを聞きながら、一口飲む。必要以上に冷えた水が、喉を通り胃まで落ちるのを如実に感じた。

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