† of Ogre~鬼の心理
アルはこれから、犯人捏造に奔走してもらうことになる。今度、なにか労わなければならないだろう。
今日も、女との戦いに急遽駆けつけたせいで、職場の人間にあれやこれやと言われているだろうし……。本当に、労ってやりたい。
彼はとても使える立場だが、仕える立場ではないのだから。
とっぷりと闇のみなもが世界を覆っている窓の外を見やると、やはり、三つ目の街灯が切れかかっていた。
いつ、新しいものと交換されるのだろう。興味はないが気になった。
「なあ真輝」
と、呼びかけられて振り返る。
そこで、
「俺はお前に、」
仁の目は、
「訊きたいことがある」
鋭さを、帯びていた。
背もたれへだれていた体を前傾させ、机で手を組む。長い前髪の内側に隠れてよくは見えないが、女として嫉妬できるくらい綺麗だろう黒眼が、私を見据えた。
瞬時に、昨日今日のことを思い出す。
この短い時間で私の身に起こった、数々の出来事――朝からの高熱――煤祓いの巫女――その即身仏との戦闘――真輝の発露――藤岡悟との邂逅――ウリエルの火の吸収――仁の興味や知識欲をそそる要素は、たんまりとある。
そしてそのすべての問題が、すでに解決した。つまり、じっくりと振り返ることができる。
今日も、女との戦いに急遽駆けつけたせいで、職場の人間にあれやこれやと言われているだろうし……。本当に、労ってやりたい。
彼はとても使える立場だが、仕える立場ではないのだから。
とっぷりと闇のみなもが世界を覆っている窓の外を見やると、やはり、三つ目の街灯が切れかかっていた。
いつ、新しいものと交換されるのだろう。興味はないが気になった。
「なあ真輝」
と、呼びかけられて振り返る。
そこで、
「俺はお前に、」
仁の目は、
「訊きたいことがある」
鋭さを、帯びていた。
背もたれへだれていた体を前傾させ、机で手を組む。長い前髪の内側に隠れてよくは見えないが、女として嫉妬できるくらい綺麗だろう黒眼が、私を見据えた。
瞬時に、昨日今日のことを思い出す。
この短い時間で私の身に起こった、数々の出来事――朝からの高熱――煤祓いの巫女――その即身仏との戦闘――真輝の発露――藤岡悟との邂逅――ウリエルの火の吸収――仁の興味や知識欲をそそる要素は、たんまりとある。
そしてそのすべての問題が、すでに解決した。つまり、じっくりと振り返ることができる。