† of Ogre~鬼の心理
「――頼りにしてるわ。藤岡」

と、呟いてしまった時、

「お、お客様っ……?」

「?」

やや上擦った声がして、視線を落とした。

先に仕上がったコーンスープをトレーに載せてやって来ていたウェイトレスが、青い顔をしている。

その視線は私の手を捉え、彼女自身の手はわずかに震えているようだった。

ああ。

「悪かったわ」

慌てることなく詫びて、

「はい。これで問題ないでしょう? 大丈夫、もう出さないわ、安心して」

私はナイフをポケットへしまった。おけらのように、両手をひらひらさせる。

「は、はあ……」などと、とりあえずもとりあえず頷いて見せるウェイトレスの、向こう――

「なーぁにやっとんだ、お前は」

コーヒーとソフトドリンクを両手にした仁が、小バカにした顔で立っていた。

「……」

実に、イヤな場面を見られたと思った。





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