† of Ogre~鬼の心理
視覚は意味をなさず、結果見えないまま見えるのは暗闇。

触覚がなければ自立している感覚も失せ、聴覚を完璧にロストさせ、そこから連結して三半規管が機能不全を引き起こせば、立つことさえ危うい。

嗅覚を塞いで情報の一端を抹消し、空間そのものの味や香りさえわからなくさせてしまえば……そこは、『無』という闇の完成だ。

そんな場所に、孤独でも大丈夫だという人間をぶち込んでみるといい。いや、どんな人間だって構わないとも。

間違いなく発狂する。

それでなくとも、完全にひと気のない空間におかれた人間は、どこまでも不安に足元を吹かれるんだ。

これが、群れ生活を主軸とする証明以外の、なんだろうか。

視界のどこかに、意識のどこかに、他人がいる。

そうして安心を得るのが、実は人間なのだ。
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